【会山行】 
前穂高岳・北尾根
いつも遠くから眺めるだけだった憧れのスカイライン
一度は行ってみたい人気のバリエーションルートだった
めまぐるしく変動する天候のなか
がんばって行ってきました!
 
 
山 域:前穂高岳・北尾根
山行日:2011年8月7日(日) 晴れ→霧→曇→雷雨→晴れ→雨・・・
参加者:森ちゃん(L)、みつ子
記 録:森ちゃん
 
 
行 程:涸沢キャンプ場4:20発→ 5・6のコル取り付き5:00着→ 5・6のコル5:50着→コルにて朝食→ 5・6のコル6:30発→ Ⅴ峰7:10終了→ Ⅳ峰8:30終了→ 3・4のコルにてフラットシューズに履き替えザイルを用意する→ Ⅲ峰→Ⅱ峰12:45終了→ 前穂高岳山頂13:30着→ 奥穂高岳山頂17:20着→穂高岳山荘17:50着→ 涸沢キャンプ場21:20着
 
 
 
4:20。まだ暗いうちに出発。テン場からザイテンへのショートカット・パノラマコースに向かう分岐からすぐに左へ折れ、ヘリポート方面へ。
 
 
 
北尾根のふもとに沿って、雪渓をたどる。昨日のうちに5・6のコルへの取り付きを確認しておいたので、暗い中でもすんなり行けた。
 
 
 
雪渓の左側のガレ場にケルンや踏み跡が出てくる。
 
 
 
そのままガレ場を5・6のコルに向かって上り詰める。いく筋も踏み跡があり、ケルンもいくつか積んであるので、コルに向かって、どう行ったっていい。
 
 
 
5:50。コルに到着。テン場から1時間半。疲れた。少し広くなっていて、休憩にはいい場所だ。食当から食材をもらったので、ロールパンにハムとマヨをはさみ朝食とする。みつ子さん持参のキューリとともにかぶりつく。美味い。
 
 
 
 
この尾根は南西に向かって前穂の頂上へ向かう。5・6のコルに立つと、まずはこのⅤ峰がドーンと出迎える。ちょっと険しい感じで怖い。気持ちを奮い立たせると、武者震いがした。
 
 
 
6:30Ⅴ峰をクライムオン。登り始めは、なんてこともない。ハッキリした踏み跡があり、これをたどって歩いたり、よじ登ったり。コルから見上げた時の、見た目ほどの険しさはなかった。
 
 
 
 
どんどん行く。後ろにはⅥ峰、Ⅶ峰と北尾根が伸び、その後方は屏風の頭だろうか。たぶん。
 
 
 
Ⅳ峰が見えてきた。その背後にⅢ峰がちょこっと。7:10にⅤ峰を終え、ほとんど高低差がないので楽にⅣ峰へ取りつける。ガイドブックによっては、核心はⅢ峰であるというものもあるが、このⅣ峰を核心とする意見も多い。私もこれに賛成だ。なぜなら、ひどくガレているからだ。一抱えもある岩が、掴むとグラつく。足を置く場所はジャリばかりで、落石を気にするあまり、なかなか前進できない。高度感が怖いのではない。乗った巨岩もろとも墜落しそうな、脆い岩質に恐怖する。
 
 
 
 
Ⅳ峰にて。「森ちゃん、こっち向いて。」カシャッ!「暑いっす。」このときはまだ天気がよかった。
 
 
 
岩から体が露出する感じが少ない。よって高度感による恐怖はないのだが、だからといってロープを出さないのは間違っている。先述したようにこのⅣ峰は大変に脆い岩質である。どうしてここでロープを出さなかったのか。今、猛列に反省している。奥又白側に左上するルートもあったようであるが、そちらへ行けばよかったのだろうか。でも雪が付いているとき用だしなぁ...。
 
 
 

Ⅳ峰の頂上から、いよいよハイライトのⅢ峰が見えてきた。奥又白側から雲が湧き上がり、不気味な岩肌を見せる。正直ビビった。「あんなとこ登んの?」先行するパーティーが、1、2、3、・・・7人いる。

 
 
 
8:30にⅣ峰を終了。4・3のコルにてフラットシューズに履き替え、ロープ(9mmx50m1本)を準備する。一息いれて、いよいよハイライトのⅢ峰にアタック。まずは森ちゃんがリード。2ピッチ目はセオリー通り、つるべで、みつ子さんがリードを変わる。
 
 
 
 
先述ではⅣ峰のほうが核心であるようなことを言ったが、あらため見上げると、やはりここも核心には違いない。ただ、ハーケンや残地シュリンゲが豊富であり、岩もしっかりしている。ホールドし放題、スタンスし放題のⅢ級難易度であるから、実はルンルンで行けるのである。この瞬間だけ見れば、ほとんどゲレンデ化されたバリエーションといっても過言ではない。
 
 
 
 
Ⅲ峰が終わったあたりで後続の男女ペアに追い抜かれた。男性のほうがこのルートを何回か経験しているらしく、常にリードをし、スピーディーに駆け抜けていった。我々はⅢ峰とⅡ峰の境がよくわからず、夢中で登攀している間に、みつ子さんがⅡ峰の終着点にたどりついていた。この時点で昼の12:00をまわる。
 
 
 
ここまで来る間に、ぱらぱらと雨が降ったり止んだり。雷もガラガラゴロゴロ鳴り出す。濃い霧で岩が湿りだした。1・2のコルがすぐ下に見えるのだが、クライムダウンする気がおきない。まよわず懸垂で降りる。そのとたん、みぞれまじりの雷雨に襲われた。
 
 
 
最後のⅠ峰はフリーで行きたいところであるが、大雨の中そうもいかず。すべての登攀を終了したのに、ずぶ濡れで意気消沈しているところを後ろからみつ子さんに写真を撮られてしまった。
 
 
 
13:50。なにはともあれ、念願の北尾根を完登である。登攀終了点から少し歩けば山頂である。雷鳴が続いているのが気が気でない。
 
 
 
山頂標識の前で二人でガッチリ握手を交わす。前穂の頂上で記念の横断幕をもち、もはや、だぁ~れもいなくなった山頂で記念撮影。もちろんカメラはセルフタイマーで撮影。そばのケルンが「ジー」と鳴っている。さっきから私のヘルメットも「チー」と鳴りっぱなしだ。落雷の予兆現象をこのとき初めて体験した。ほうほうの体で山頂から退散、遅い昼食をとる。

この後吊り尾根から奥穂へ。雨のなかザイテングラートを下って涸沢のテン場に戻ったのが夜の9時をまわってしまった。テン場で待っていたみなさん、事務局や名誉会長に大変心配をかけてしまい、申し訳ありませんでした。

このルートに臆することなく、黙々と完登したみつ子さん、アッパレでした。大変でしたが一生モノの思い出がまたひとつ、できたように思います。楽しかったです。またご一緒しましょう。

以上。