―個人山行―

山行名 :岩場救助講習
場 所 :丹沢モミソ岩
参加者 :森ちゃん(L・記)、勝又(SL)、みつ子、満作
期 日 :2011年2月13日(日)
行 程 :相模原6:00発→新茅山荘前駐車場7:40→モミソ岩8:30→講習14:30終了→相模原17:00


講習メニュー:
岩場で宙吊りになった傷病人の救出。1/3ロープシステムでの傷病人の引き上げ。傷病者をかかえての懸垂下降。ビレイヤーの自己脱出
 
 
 
 
 
岩場で楽しくクライミングに興じる。これは同時に常に危険と隣り合わせの行為。だから岩を登るための技術は、そのほとんどが安全を確保するため、事故を起こさないようにするためのものである。ヘタなりに登攀を楽しむかたわら、安全確保技術は諸先輩より、みっちり教え込まれてきたつもりである。 しかし不幸にも事故に遭遇したらどうするか。他人であろうと自分の身に降りかかったものであろうと、である。危険を回避するための技術は学んできたものの、断崖絶壁で実際に事故が起きてしまったら、対処できるだろうか。


できるわけないでしょー。
だから講習会やって、救助方法を勉強するわけです。今日やった方法が全てではないですよ。これで万全というわけでもないですよ。でも、これをやっとかなきゃイザという時困るでしょう。というわけで午前8時チョット前、モミソ岩の河原に降り立つ。 雪!さむ!
 
 
 
 
 
本日は前日からの雪で、丹沢全域が雪で覆われた。沢の渡渉では凍った岩に足をとられ苦労する。天気は良かったのでモミソ岩は温かった。木についた雪が徐々に溶け始める。小さな雪の塊がときおり降ってきて、メットにブチ当たる。
 
 
 
 
 
岩場で宙吊りになった傷病人の救出
まずは宙吊りになってしまった傷病人の救出方法。これは別のパーティーが事故にあってしまい、それを救出に向かうという設定。一番下にいるのが傷病人役の満作さん。これを救助に向かう森ちゃん。上のテラスで森ちゃんを降ろす勝又さん。
 
 
 
 
 
上のテラスの勝又さんは、救助者と傷病人の2人分の荷重を降ろすことになる。左の写真例のように、ロープを2~3回折り返すなどし、十分な制動が得られるような工夫が必要になる。 岩場により、どこに支点が設けられているかわからないので、例のような折り返しが必ずしもできるわけではない。ロープの折り返し方法は、その場その場で考えるしかない。
 
 
 
 
 
「だいじょうぶですか?」 「う~ん、いてて...」 ケガ人には元気づける言葉をかけ続けることが肝要である。 救助者は傷病人の下に潜り込むような位置でサポートするため、デイジーチェーン等で長さを振り分けて連結する。
 
 
 
 
 
傷病人を連結したら、傷病人を吊っているロープをナイフで切断。「ロープ切断!」このとき、相手パーティーのビレイヤーは既に自己脱出していることが前提になる。 ロープ切断後、安全な場所まで傷病者を降ろす。
 
 
 
 
 
同じようにして勝又さんが救助に向かう。 ロープ切断後、安全な場所まで傷病者を抱えながらの下降は難しい。空中懸垂ならばよいが、岩が斜面となっている場合、傷病者にも歩いてもらわないと、とてもじゃないが狙った場所に下降できないことがわかった。
 
 
 
 
 
1/3ロープシステムでの傷病人の引き上げ

左の例が1/3ロープシステム。力点のロープを仮に3単位引っ張ると、最終作用点は1単位しか動かないというもの。そのかわり力は3倍である。滑車などがない場合、カラビナでロープを折り返す回数が多いほど、折り返し部分で抵抗が大きくなる。実際には3倍も力がでるわけではない。これで傷病者の一人を持ち上げるのにも、相当な重労働となる。
 
 
 
 
 
これもやはり、現場にどのような支点が設けられているかわからないので、その場その場でいかにこの形を構築できるかが問題である。
 
 
 
 
 
「それじゃ引っ張り上げるヨ~」「オッケー」傷病人がこのように元気に歩いてくれれば苦労はない。まったく動けない人を持ち上げる場合、救助者が傷病人を担ぐしかないだろう。できるか?そんなこと...と思う。
 
 
 
 
 
「せーの、そいやぁ!」女性のみつ子さん一人だと、かなり重労働。満作さんが加勢する。
 
 
 
 
 
今度は勝又さんが1/3ロープシステムにトライ。ロープワークをテキパキと。
 
 
 
 
 
男性が女性を引き上げる場合、滑車がなくても割と簡単に持ち上がる。「う~ん!」 あ、そうでもなかったですかね。ご苦労様。
 
 
傷病者をかかえての懸垂下降と、ビレイヤーの自己脱出は紙面の関係上、割愛する。このような講習会は今回で終わりでなく、今年の夏合宿に向けて少なくとも、あともう一回はやるつもりだ。そのときにでも報告できればと思う。

昨年の11月14日に行われた、県岳連の岩場救助講習を森ちゃんが学んできた。これを忠実に今回の講習会で伝えるつもりであった。しかしながら県岳連と我々が設定した現場の状況は全くちがうので、やってみると意外とシステム構築に手間取るので、まいってしまう。県岳連で学んだことはあくまで基本であり、現場や状況に応じて、いかにシステムを臨機応変で構築するか。これはもう訓練しかないな、と思うのである。

みつ子さん勝又さん、どうもお疲れ様でした。満作さん、傷病者役ばかりしていただき申し訳ないです。いろいろアドバイスをいただき、納得のいく講習会をみっちりできました。ご協力感謝です。 
 
報告者 :森ちゃん