~個人山行~
「大雪山山系・旭岳~トムラウシ山縦走」
☆山行期間… 09年7月2日(木)~5日(日)、3泊4日
☆山行目的… 縦走・高山植物
☆メンバー… エミリン(ソロ)
☆行程及びコース… <初日>7/2、淵野辺4:42~羽田空港5:55=6:35~旭川空港8:10=8:30~旭川駅9:05=9:10~旭川温泉10:55=11:00~姿見1600m11:10=出発11:25~旭岳2291m13:05=13:10~間宮岳2185m14:00=14:10~北海岳2149m14:40~14:50~白雲岳避難小屋泊15:50
<2日目>7/3、小屋5:20~忠別岳1962.6m8:40=8:50~小屋分岐9:50~五色岳1868m10:35=10:55~化雲岳1954.3m12:30~ヒサゴ沼避難小屋泊13:45
<3日目>7/4、小屋5:15~分岐5:50~北沼7:45~トムラウシ岳2141.0m8:08=8:15~分岐9:50=10:00~化雲岳10:45~ポン沼11:35=11:45~第1公園13:10~滝見台14:45=14:55~天人峡温泉15:20
<4日目>7/5、*天人峡温泉泊、「羽衣の滝」散策~10:00旭岳ビジターセンター~旭川空港17:35~羽田空港19:20~帰宅21:55
 ソロでの泊り・縦走は実は初めての経験となりますが、やっぱり折角の休暇は、山へ飛び込みたい…と計画は格安チケット(6:35発)が前日に入手出来たことから心は決まります。又、トムラウシ温泉へと抜けたかったがバスの運行が7/18からだったことから天人峡へのコースを選択します。
 初日、乗継は全てスムーズに行きます。山頂を見上げればガスって旭岳は見えませんが沢山の観光客に混ざって前進します
○旭岳ピークから間宮岳に向かいます。
 大きなザックを見て何人かの女性が声を掛けて下さいます。心配そうに時計を見ながら「どこまで行くの??」と…。「無理だったら引き返します!行ってきます。」と伝えて前方を見ると青空が見え始めます。旭岳から北東は意外にも回復傾向です。雪渓の残る時期、悪天候だと慣れた方でも迷いやすいそうですが白雲岳も見えています。登山者は流石に旭岳を過ぎれば居ません。時間も時間だし…。
 裏旭にあった大きな雪渓を下りればお花畑が北海岳迄続きます。カッコウも鳴いています。
 ここでコンパスにハプニングです。不思議なことに「北」を示さない…(!?)。これが「北を指さないコンパス」かと、パイレーツ・オブ・カリビアン(映画)を思い出します――。
 標識のある白雲岳分岐から避難小屋は直ぐです。小屋に入ると約30名の宿泊者に圧倒されボ――としてしまい管理人さんに「まずは荷物下ろしますか!?」と言われます…。一人ということで寝る場所は直ぐに確保して下さいます。(一人には十分過ぎるスペースでした。)そしてコンパスの修復をととても気さくな管理人さんに相談します。乱暴に扱っても壊れることなんてないんだけどね、と来られていたガイドのお兄さんにも見てもらい強力磁石をお借りして暫く付けます。この後、かろうじて北を向くようにはなりますが…。
 たくさんの雪渓の残る小屋周辺では「エゾタカネスミレ」はまだでしたが「ミヤマアズマギク」が小屋の前にも咲き始めたよ!とお花も愛していそうな管理人さんが皆さんに教えて下さいます。又、一人では迷いやすいと思われる個所を100名山2座残すのみという男性と、今回で100座を達成したという男性が親切に地図に書き込んで下さいます。
 2階への階段を上ったところに窓が2つあります。そこが私の寝る場所です。皆さんが「どうも!」と通られます。
 翌朝、外に出ると夜中に雨が降ったようです。早朝と午後から回復しますが午前中は深いガスで覆われて不安定でした。小屋を出ると既に出発した2組のパーティーが小さく見えています。「一緒に歩きましょうよ。」と前日声を掛けて下さった楽しそうな仙台からの4人パーティとはヒサゴでまた会うことにして先に歩かせて貰いました。
○白雲岳とガスと青空です。キレイなので何度も振向きます。 ○右側の靴の足跡と比較してみて下さい。
何百キロあるのかな??
 小屋を出て約15分、熊の足跡発見!!です。前日の午後?踏まれたそうですが本物(足跡)を初めて見てエゾヒグマが生きていける大自然がここにあるって恐さもありますが凄いなぁと深く感動します。自然の生態系を壊してはいけないと学びます。
高根ヶ原では天国のようなお花畑です。次々と目の前に現れる光景に心を鷲掴みにされます―― 。
○誰もいない高根ヶ原で独り占めです。ウルップソウの満開ピークにウットリ?。
 天候は益々ガスが深くなり展望はありません。ここから「トムラウシが見えていたら…。」と考えると正直残念に思いましたがそれでも雨も風もなく充分満足でした。(だってこの後も楽しいことが待っていましたから。)
 先に歩く2組のパーティに追いついてしまい忠別岳前辺りから先に歩きます。
忠別岳からは「覚悟して・・・」とアドバイス通りの「ハイマツ群生地」が始まります。150㎝にも満たない私はスッポリと頭まで入ります。前後から見れば突如として私は消えることになります。時折大きな枝に押し戻され、低い太い枝に足を強打しながらまるで沢を泳ぐように(?!)進みます。
 抜けたところが五色岳。ここで大休止を取ります。後続の6人パーティも一緒になり九州からのツアーで来られていることを知ります。早速、直ぐに打ち解けて、九州弁が飛び交います。
 化雲岳からは透き通った水色の沼が点在してきます。「エゾノツカザクラ」が一層に濃く、大きいです。「イワヒゲ・ジムカデ」などみんな下を向いて恥ずかしそうです。
 ヒサゴ沼避難小屋周辺にはたっぷりと雪渓が残ります。又、「ナキウサギさん」の声を聞くことができます。運が良ければ出会うことも出来ます。ヒサゴ沼避難小屋には管理人は居ませんが気の良い連泊中の男性(カメラマン)が迎えてくれます。今夜の宿泊は24名。白雲岳避難小屋から忘れ物を序でと運んで来られたガイドの?!お兄さんに「オレの落した100万円は無かったか~?(冗談)」と、とってもアットホームです。今夜もしっかりとご飯を食べて水分もしっかり取りゆっくりと過ごします。ざんげ(唐揚)やミルクティーを御馳走になり山の話はいつまでも尽きません。。。(御馳走様でした。)それでも19時過ぎにはシュラフに入ります。
 深夜0時頃目が覚めて外に出ると一面に『満天の星空!』。キラキラと輝く光を静かに眺めます。翌日の景色に期待を膨らませて再びシュラフに入ります。
 朝の「石狩岳・ニペソツ山」が美しい。青空、風もありません。出発して直ぐナキウサギさんとの再会にすっかり癒されて天人峡迄の元気をフル充電します。快調に足が上がり高度を上げて行きます。ピストンですが荷物は持って行きます。ロックガーデンで6名・北沼で2名に追いつきます。大きくて綺麗な北沼にはまだ氷が残ります。見上げるトムラウシ山頂迄の道はどこにあるのか見当もつきません。マークを見失わないように歩きます。旭岳迄の全貌がここで初めて望むことが出来ます。大きな山です。(この後 旭岳の全貌は見せることはありませんでした。)
○「あっ 旭岳! あそこから縦走してきたんだなぁ。」 ○来て良かったと噛みしめるEMIです。
 今回8座目となるトムラウシ山。南沼にテントを張っていたというカメラマンさんがシャッターを押して下さいます。大きな雲が西の天人峡の方からどんどん現れます。ゆっくりも出来ず、後にします。下山途中では小屋でご一緒だった5組のパーティーとすれ違うことになります。中でも九州の方との握手を交わしながらのお別れは結構ウルウルときてしまいます。。。
日本庭園では「エゾシマリスさん」達があちらこちらで遊んでいます。そして幸せにもこの時期、真っ白から褐色へと変化する「カンジキウサギ」さんにも 遭遇します。機敏?とは思えないくらいゆっくりとピョンピョンと。聞いておりましたが本当に身体も足もデッカイ!!又、寿命が長くて約1年というのも驚きです。
 化雲岳からは天人峡からピストンで来られたという旭川の方と一緒に歩きます。ポン沼を過ぎて小川?とも思える道を歩くことになります。標識は暫くありません。地図通り歩きにくい道です。唯一ストックを出して歩きます。カエルさんもいます。怖いブヨさんもいます。
 第1公園を過ぎた頃からは「水芭蕉・蝦夷小桜・三葉黄連・蝦夷一花・延齢草・御前橘・蝦夷竹縞蘭・蝦夷の麗人草」などが続々と現れます。(ゆっくりと見ればモウセンゴケもあったかも。。。)
 徐々に沢の音が聞こえ迫力ある「羽衣の滝」が現れますがまだまだ歩きます。そしてようやく天人峡温泉が現れます。この長いコースを4時間35分で歩いたことになります。(地図時間5時間30分)流石に足の裏がジンジンします。最後はヘビさんにも遭遇しますが無事に下山、記念写真を撮ります。そしてご一緒だった方ともお別れです。
○ちゃんと歩けたとジワジワと感動します。
 この後は勿論「天人峡温泉」、温泉へと直行します。夜はぐっすりと熟睡…といきたかったのですが見事に裏切られます。なかなかの興奮状態で眠れず何度も温泉に入ります。翌日は旭岳ビシターセンターへ立ち寄り情報をお伝えします。ザックも4日目となれば身体の一部、ずっと一緒です!!
 旭川空港では突然の叩き付ける雨です。すると直ぐに晴れ渡り次の瞬間、大~きな「虹」が現れます。暫くすると虹は2重になり徐々に色がはっきりと見えてきます。
 自然の演出に最後まで心打たれる楽しい山旅になりました。一人だったからこそ出会えた出逢いに心から多感謝しております。本当にありがとうございました。
○大自然の演出に深い思い出が刻まれました。