南八ヶ岳  阿弥陀岳南稜

 



記録者:川野
期 日:平成18年10月22日(日)(前夜発)
参加者:井山、川野、貴堂(L)
行 程: (車利用の夜行日帰り)
10/21 相模原発17:30-20:30八ヶ岳山麓立場川キャンプ場テント泊
10/22 キャンプ場4:55==舟山十字路5:20~35--旭小屋6:20~35--尾根上6:50--立場山8:10~15--青ナギ8:30~50--無名
峰9:20--P19:30-P1下装備着装して9:50--P3ガリー終了10:35--P3ノ頭10:45--阿弥陀岳山頂11:05~45--不動清水口
13:00--御小屋山13:40~50--美濃戸分岐14:10~20--虎姫神社14:40~50--舟山十字路15:20~35===

 貴堂さんに声を掛けられ、常々願望していた阿弥陀岳南稜へいくことができた。前日夕刻相模原を発ち、中央道小淵沢ICから八巻道路に入り立場川キャンプ場で幕を張り夕食を作って1泊した。翌朝八巻道路から美濃戸方面へ向かい、八ヶ岳美術館の先の十字路を右折、別荘地を左側に見ながら真直ぐ走ると舗装が切れて、所謂、舟山十字路に着く。

実は三叉路であり直進方向にゲートがある。右の林道へ車は入るが、立場川キャンプ場(キャンプ場からはゲートがあって進入不能である)からの林道と合流する先で進入できなくなる。立場川本谷を左岸に渡って進み、右岸に渡り返すと廃屋化した旭小屋に着く。左方向へ踏み跡を辿って前方の尾根に取り付き、急登15分で尾根にあがる。風化した岩場を登るが踏み跡は明瞭である。ここから長い立場山への登りが続く。

殆んどシラビソ主体の樹林帯でチラチラ西岳を木間からみながら登っていった。立場山は山頂標識もない樹林帯の中で見過ごしてしまったが、樹林帯を抜けて振り返って見るとその周辺の状況から位置は直ぐ判断できた。一本とって直ぐ青ナギに着いた。北面に圧倒されそうな強さでP3、P4が迫って胸がときめく。

快晴の大展望を楽しみながら食事を摂る。ここから急登30分頑張って無名峰に着いた。この辺りが森林限界である。P1下の鞍部で貴堂さんが念の為フル装備をしてきてくれたので、ハーネスを装着、シュリンゲ、ビナ等少し出して出発した。ガレはあるものの、ここまでは問題ない。


無名峰からは、P3、P4の岩峰が眼前に迫ってくる情景が圧巻である。快晴無風の岩稜で阿弥陀岳は勿論、赤岳と天狗尾根の尖峰に、キレットの稜線がスカイラインを描いて眼前にせまってくる。振り返れば今登ってきた立場山に辿る稜線がくっきり、そして先週登った、権現岳、ツルネ、編笠山、西岳が東南に浮かんでいる。なんと言う幸せの時であろう!


いよいよ核心部P3の基部に到着、貴堂さんから正面フエースではなく左側カンテなら直登できそうだがどうする?と問われる。井山さんは行きたいとの意思表示があったが、ホールドは豊富にあるように見えたものの、相当風化した岩峰であり、「脆く、高度感もある」とガイドにあったのが気になり、裏側のガリーにしたいと申し出た。左へ下り気味にトラバースして(小さい標識があった)トップを貴堂さんと交替してガリーに取り付く。取り付きはやや被って段差があり、足下は深く切れ落ちて高度感がある(広河原三ルンゼ右俣の最上部)、ロープに頼って一気に攀じ登る。浮き石のある急斜面のガリーであり、ロープを出す予定であったが、何とフイックスロープがあったのでこれを利用した。貴堂さんの指示で間を空けないで続いて登った。後続の2人組みは我々が登り切るまで待機した。慎重に登り、稜線から振り返るとV字のガリーが深い谷底に落ち込んだおりホッとした。と同時に展望の素晴らしさに改めて目を見張った。無名峰近くからみた風景が更に大きく展開されていた。嬉しくて、なんだか先を急ぐのがもったいない気分の中にいた。少し戻ってP3の頭へ立ってみる。前記のカンテの上はテラスだがその上はやや難しそうに見えた。P3を過ぎると直ぐ、キレット気味の先に大きな岩塊のP4に阻まれる。しかし高度感のあるガレの踏み跡をやや攀じ登ってP4の上に出ると、もうそこは呆気なく阿弥陀岳の頂上であった。


山頂は大勢の人で賑わっていて、ここはもう見慣れた展望であった。のんびりと腹ごしらえをして御小屋尾根を下山した。直ぐ鉄梯子付きの岩峰を越えると、不動清水までは、急降下の抉られたザレ道が多くトラロープが張られている。不動清水を過ぎれば緩やかな快適な下山道で、美濃戸口への分岐を右に分けて、虎姫神社(といっても建物があるわけでなく、大石の上に3mほどの石塔が建ち、周辺に種々石仏があった)を経て舟山十字路へ戻った。出発から丁度10時間経過していた。
「今日来られなかった山路の皆さんと再度この悦びを共有したいものだ!」という貴堂さんの皆を気遣う言葉を聴きながら帰路についた。