南アルプス 聖岳・光岳

記 録: 川野

期 間: 平成16年7月23日~28日

参加者: 川野、嶋村タ、嶋村ア、新保

行 程: 7月23日 相模原発5:43==八王子==(中央線~飯田線)13:01平岡駅==タクシー==便ヶ島:14:30聖光小屋泊 7月24日 聖光小屋4:35--西沢渡5:05~35--苔平8:20~30--薊畑分岐9:55~10:10--小聖岳11:00~15--水場11:40~55 --聖岳頂上12:35~50--奥聖岳13:10~20--聖岳13:40~45--水場14:10~25--小聖岳14:45~55--薊畑分岐       15:35~45-16:00聖平小屋泊

7月25日 聖平小屋5:50--2561m峰付近の展望地30分休憩-南岳8:10--上河内分岐8:55~9:00--上河内岳山頂9:10 ~9:50--分岐10:20--草原地帯食事11:10~12:10--茶臼分岐12:35-12:45茶臼小屋 7月26日 雨で停滞

7月27日 茶臼小屋4:30--分岐4:42--茶臼岳5:00~30--仁田池5:45--希望峰6:10--仁田岳6:25~35--希望峰6:50-- 易老岳8:05~30--三吉平9:25~35--静高平10:20~30--分岐10:35--イザルヶ岳10:45--分岐11:00--光岳小屋11:15~35--光岳11:50--光石--13:05光小屋泊

7月28日 光小屋4:05--イザルヶ岳往復して分岐4:50--三吉平5:25~40--易老岳6:40~50--2254.8峰7:05--面平8:35~9:00--易老渡10:00--10:10~11:20JR平岡駅--入浴食事-13:16発==飯田線~中央線==八王子==相模原21:10

 

7/23昨年計画して断念した聖~光岳を嶋村さん達と小屋泊まりで実行した。青春18キップを利用して、高尾発6時15 分松本行きで発った。上諏訪で始発の飯田線に乗り換えて平岡駅へ13時に着く。予約していたタクシー(\12,420)で 便ヶ島に入り(所要:1時間15分)昨年開業の新しい聖光小屋に泊まった。管理人の青木さんは自宅を引き払って住 み込みしている相模原市出身の方であったので、話も弾み何となくお互い親しみをもって接することができた。現在 1人なので10人程度に絞って予約制としている。50台の駐車場、別途車中泊用スペースもありテント場も良好、トイ レ、炊事場、食卓棟があり素晴らしい。

7/24 遊歩道を兼ねる登山道から少し登ると西沢渡までは、ほぼ平坦で広い旧トロッコ道である。西沢の渡しには、 旧来より少し下流側へ頑丈で立派な渡しのケーブル籠が新しく完成していた。(制限荷重200kg)よって我々はザック と共に人間様も乗って渡った(禁止の表示はない)。ここから急登の長丁場となると覚悟していたので、ゆっくり30~ 40分毎に休憩しながら樹林帯を登った。突然ガレ場の開けたところに出て聖岳への分岐に着いた。薊畑の三角点 はどこだか分からず過ぎたようだ。ハクサンフウロ、ミヤマコウリンカ、ミヤマナデシコが咲いていた。予定より早く未 だ10時、今日泊まりの聖平小屋はもう直ぐ眼下に見えている。曇ってきたが、今日の内に聖岳を往復することにし た。ザックをデボしてザブで出発した。一面のマルバダケブキ、そしてミヤマトリカブトの点在する斜面を登って行く。 小聖岳の手前で稜線にでた辺りのガレ地に、タカネビランジが咲いているのが見られたが近づけない。ブツブツ悔 やみながら通過、小聖岳を過ぎ聖岳へのザクザクの急登が始まる痩せ尾根の左側ガレの上部(10m慎重に!)、に 岩の亀裂より僅かな水が湧いている。ペットボトルで辛うじて汲める。冷たくとても美味しいのでタップリ飲み、タンク に詰め替えて一息入れ、聖岳へ登り切る。頂上直下でライチョウの親子に出会った。頂上側の岩上にオスを見たよ うな気がしたが、母親と子3羽がハイマツの間をウロチョロしていた。それでも写真は撮らしてもらえた。オスは全く子 育てしないそうである。頂上はガスも無く晴れているが、赤石岳、荒川三山、上河内岳、富士山方向はガスが懸かっ て頂部は隠されていた。一瞬赤石岳山頂がみえるも、兎岳から続く尾根や頂部の全貌は拝めなくて悔しいが(時刻 は12時過ぎであり止得ない)、大きな山容は確認できた。奥聖岳まで足を延ばすと、途中平地にお花畑があるが花 は少ない。下山路ではまた水を味わい、花を愛でながらゆっくりしたので聖小屋に着いたのは16時になった。しかし 今日は標高差2,030m を登り750m 下ったことになる。聖平小屋は比較的新しく今夜の宿泊者は70人位でまだ充分 余裕があった。前に旧小屋があり自炊泊用のようである。トイレは戸外で100mも離れて不便だが完全水洗である。 水も小屋前に引いて水栓付きだが出はあまり良くない。管理人原田氏以下スタッフは7人と多く、食事係は白衣に 白帽子姿で清潔感をアピールしている。(今日は臨時応援者がいるとか)食事前、料理の説明があり、イワナの唐揚 げ、本川根町特産野菜の「あえもの」、トン汁、静岡茶、米は魚沼コシヒカリ(・・にしては不味かったゾ!)とこれ宣伝 に努め、全て対応が丁重で山小屋と云うより訓練された町営宿舎といった印象であった。

7/25 昨日の内に聖岳を往復したので、今日の行程には余裕がある。湯を沸かし朝食を済ませて出発した。トラバ ースぎみに尾根に取り付き1ピッチで展望の開ける2561m点で1本立てる。前面に威風堂々たる聖岳がせまり、上 昇気流によるガスで見え隠れする姿がまた脈動的で高度感を与え、最南端3,000m峰の存在感を示していた。気温 上昇とともに雲が湧いてくる。このコースきっての展望峰上河内岳も富士山は見られず、40分間粘ったが、聖岳の 頂部も一瞬のガスの切れ間で垣間見るだけに終った。竹内門を過ぎた辺りから見る上河内岳はピダミダルで姿が 美しい。二重山稜を抜け広々とした湿原地滞に出たところで、上河内岳をバックにゆっくりランチタイムとした。時間 に余裕があるのでのんびりし過ぎたか!ゴロゴロと急に雷さんが騒ぐ音が聞こえてきたので慌てて出発した。2,555m 峰を巻いた辺りで雨になって、雨具を着けたが、直ぐ分岐になり10分足らずで茶臼小屋に着いたので殆んど濡れず に済んだ。その後強い雨となって翌26日まで降り続いた。

7/26 昨夕一時上がった雨も朝から本降りが続き出発の支度を済ませたが、天気予報(静岡気象台から直接情報 が入る)も悪く、雷雨も予想されたので出発を断念して停滞した。川野以外は小屋等での停滞は初体験とのことであ ったが、7/25途中で出会った富山市の伊藤さん、福岡市の高山さん(何れも単独行の女性)達と朝から食堂で歓談 し10時過ぎからはもうビールを抜き、更に話が弾んで退屈しなかった。茶臼小屋も又雰囲気、サービス共に聖平小 屋同様に良かった(高橋管理人)宿泊者は20人位で少なかった。トイレは80m離れた従来タイプ、水場はそばにあり 従業員は4~5人、ケータイはテント場の先でワンポイントOK。なお、ビール\600(350mml)を1本買うと発泡酒 (350mml)1本サービスがあった。2日間で3本購入6本呑んだ。ここで買って光小屋まで持って行くチャッカリ者もいた。 サービスの理由は?何故か茶化して答えて呉れなかったが・・。夕刻一時雨が止み、小屋の窓からでも、左から笊ヶ 岳、布引山、稲又山と続く尾根が見え、そして青薙山の奥に富士さんが浮かんだ。なお、停滞で1日延長となり、自宅 への連絡等に田口会長を煩わしたが適切に対応して頂いたことに感謝している。

/27 快晴の朝を迎えた。日の出前に出発、茶臼岳への稜線で日の出を迎える。富士山がモルゲンロートにくっき りと浮かび、笊ヶ岳、布引山の稜線から太陽が昇った。茶臼岳山頂では、朝の斜光線のコントラストで立体感のある 大展望を30分も楽しむ。聖岳の右奥に赤石、悪沢岳を見ることができた。南方には大無間山、小無間山等の凹凸 の山並み、西南にこれから歩く光岳への稜線や仁田岳、イザルヶ岳が開けて鮮明に位置関係が識別できた。仁田 岳からは更に易老岳、イザルヶ岳そして光小屋がはっきり見えた。そこから右奥へ加加森山と続いているが、全山 樹林帯で奥秩父の山々を思い浮かべさせる山容である。易老岳は樹林の中で展望なし、最後は沢沿いの急登1ピ ッチで静高平に着く。ここの水場は涸れていた。イザルヶ岳に立ち寄り、光小屋で受付を済ませて光岳頂上を経て 光石の岩峰の上に立つ。大石ではなくこんもりした岩峰である。頂部の岩の割れ目にミヤマムラサキ、ミヤマダイモ ンジソウが咲いて、ミヤマシャジンは未だ蕾であった。光小屋では受付の時、食事はどうします?と尋ねられたが、 事前の問い合わせ(本川根町)では、食事提供は50歳以上3名以下15時まで到着が絶対条件と言われたので食糧 持込み自炊した。ただし、水は無料で支給してくれたので、中俣沢側への往復30分の水汲みをしなくて済み有り難 かった。宿泊者30名程で余裕あり、トイレは外で点灯時間帯はバイオ式、他では従来形。夕方、中俣沢側にブロッ ケン現象が生じ、腕を大きく振ってみんな喜んだ。小屋の前に寸又峡まで12時間と道標にあった。

7/28 満天の星、4時5分出発、イザルヶ岳で日の出を迎え朝焼けの富士山の美しさに改めて感動し、情景を胸に刻 み込んだ。三吉平で朝食を摂って順調に易老渡へ下山した。予約のタクシーでJR平岡へ出る、駅舎が温泉ホテル の一部になっており、此処で入浴したあとのレストランでの生ビールと冷やし中華の美味かったことよ! 朝・昼食分は前夜アルファ米やお湯を用意して夜明けと共に出発した。総じてゆっくり歩き(早くは歩けないが・・)で あったが、結果的には、ほぼ昭文社の地図等のコースタイム通りで歩けた。因みに、初日便ヶ島から薊畑三角点ま でのコースタイムは6時間20分、実際は聖岳と聖平の分岐までで4時35分~9時55分の5時間20分で6時間も要しな かった。茶臼小屋から光岳まで10時間でピストン可能と聞いたし、光小屋から聖平小屋まで1日行程の人がかなりい た。この山域に関しては地図やガイドブックのコースタイムはかなり余裕をみた時間が記入されていると思う。しか し、我々にとっては3泊することで無理がなく余裕をもって楽しめるのが良いし、早足登山は好みでない。  一つ期待はずれであったのは、この山域の高山植物は全く物足りないことであった。地図やガイドブックに記載さ れているお花畑は(もう既に花は少ないと注釈がある)全く花が無いか僅かである。確かに品種は多い。私が数えた だけでも53種は下らないが株が少なく、群生がなくチラホラしかない。特に薊畑から聖岳の間にあるとされる、ミヤマ オダマキ、アオノツガザクラ、ニッコウキスゲ、は全く見当たらなかった。(ミネズオウ、オヤマノエンドウは時期が早 いので終わったか、見落としかもしれないが・・)一般的に少ない花の中では、タカネビランジ、タカネバラ、ミヤマム ラサキを見たがそれも1~2株だけであった。そして何故か、マルバダケブキとヤマトリカブトが繁殖しすぎているよう に思える。繁殖種と衰退種とが反比例しつつあるのか?鹿害も多いと聞く。 同行の嶋村氏夫妻と新保さんは中々の健脚であり、筋肉痛など全く感じない元気さで登路でも小屋でも活発そのも のであった。ともあれ満足のいく山行で、皆さんも充分楽しまれたものと思う。